不眠日記

寝れない夜に書く日記

人は規範から自由になれない

この記事は、Kumano dorm. Advent Calendar 2020 の14日目の記事です。

フェミニズムっていうのは男性に対して「あなたも『男らしさ』から降りて自由になろう」みたいなことを言うんだけど、それに呼応して先進的な男性の皆様は、なるほどわかる俺も『男らしさ』から降りて自由になるぞって言うし、そのように行動する。でもそれって結局「新時代の男らしさ」を男性に対して求めているだけだよね?ということが、アンチフェミニズムの人からしばしば指摘されていて、「男らしさ2.0」っていうネットスラングに結実している。これは結構象徴的な例に思えて、先進性というのもつまるところ、「環境に合わせて自らの持つ規範を積極的に変化させる」という1つの(メタ的な)規範なのだ。そのため、これはただの勘というか例え話的思考なのだけれど、先進的な男性の皆様は案外、家父長制的な環境に置かれたら抵抗なく馴染んだりするんじゃないかなという気がする。つまり何が言いたいかというと、自分が規範から自由になったと思っていても、その実別の規範に乗り換えただけであり、規範から自由になるなんてことは無理で、規範に1から10まで行動を制御されているのが人間なのだ。規範から自由になった、などと感じている人は注意したほうが良いと思う。その新しい規範で、新しい別の誰かを殴りつけている可能性は常にあるのだから。